中教審第142回教員養成部会開催 

特別免許状を積極的に活用 

任期付、非常勤も可能を周知 

中央教育審議会の第142回教員養成部会(部会長=秋田喜代美・学習院大学文学部教授)が4月24日、対面とオンラインのハイブリッド形式で開催された。この日は、近年、文部科学省の働きかけから増加傾向にある「特別免許状」に関して、なお一部の都道府県で消極的な運用が見られることから、従来の指針を授与のみならず採用や研修等も含めた「特別免許状の授与及び活用等に係る指針」に改めることが提案され、審議の結果、別掲の方向性に見直していくことが了承された。  

特別免許状に関しては、社会に開かれた教育課程を実現することや、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を形成するため、優れた知識経験等を有する社会人を学校現場に迎え入れられるよう、平成26年に「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」を策定、令和3年に更に柔軟な授与が可能となるよう指針を改訂。その結果、平成30年度に全国で208件だった授与件数は4年後の令和4年度に500件となり累計数は2774件に増えている。   

令和4年度の500件の授与件数の内、私立学校での授与件数は小学校で20件、中学校で75件、高等学校で130件、特別支援学校で0件と、いずれの学校種も「英語」の特別免許状が多いが、高校では「看護」が22件、「理科」が10件、そのほか「体育」4件、「情報」「宗教」が各3件などもある。公立高等学校では特別免許状の授与件数182件のうち90件が「情報」だ。   

例えば広島県では授与件数を令和3年度の6件から4年度には63件と10倍増しているが、令和4年度、国公私立学校合わせて0件という県(群馬県、富山県、石川県、宮崎県)や1件(秋田県、新潟県、島根県、徳島県)の県も見られる。そのため新しい指針では、特別免許状に関する個別のホームページ等を作成し、一般向けに分かりやすい形で公表することを促進するほか、特別免許状の授与を前提とした採用選考の積極的実施の促進等を明記、授与候補者の教科に関する専門的知識経験・技能の考え方として、教科の内容を完全に包含していなくても、自身の専門分野を中核として、当該教科に関する知識がある場合には授与が可能なことを明確化(例えば一つの競技で実績を収めたアスリートに「保健体育」の特別免許状を授与する)の方針を明記。   

また指導方法・技術等に関し、特別免許状授与の前段階で普通免許状との同等性を過度に重視しすぎることのないよう求めており、特別免許状授与者であっても、任期付きや非常勤として任用することが可能であることを周知することも記載している。特別免許状は臨時免許状とは異なり、正規職員に授与するものと考えられている傾向があり、そうした誤解を払拭する意味でも非常勤としての任用が可能な点を強調している。そのほか特別免状況による入職後、一定期間教職を務めた者に関して研修やキャリアップの道筋を示す必要性も示している。   

こうした見直しに教員養成部会の委員からは、「(大学等を卒業後)社会に出た経験のない人ばかりでは同質化してしまう。スペシャリストが必要だ」「相変わらず小・中学校では特別免許状の授与件数が極端に少ない。審査基準を決めて手続きの透明化を図るべきだ。特別免許状の教師と一般の教師をつなぐ役割の人が必要」「日本の医師免許はドイツでも通用する。教職も国際化が大切」などの意見が出された。   

このほか4月24日の教員養成部会では、教師不足解消に向けた各教育委員会における取り組み事例が同省から報告され、現職以外の教員免許保有者向け研修の開催、広報・PRの取り組み、学校スタッフのマッチングシステムの構築などの事例が紹介された。   

教員不足に関しては、日本私立中学高等学校連合会会長の吉田晋委員から、「私立学校も教師不足。教育委員会だからこれだけのことができる。マッチングシステムがあれば私立学校も加えてほしい。教職課程を取っている学生がもともと少ない。公私に良い先生が集まることが切磋琢磨につながる」との発言があった。   

また免許外教科担任の許可等に関する指針の改定案が示され、同部会で了承された。