中教審高等教育の在り方特別部会開く 

高等教育の在り方に関する論点整理案提示 

中央教育審議会大学分科会の高等教育の在り方に関する特別部会(部会長=永田恭介・筑波大学学長)は4月26日、文部科学省でオンラインも交え第5回特別部会を開いた。  

議題は、「今後の高等教育の在り方について」。同部会の中村和彦委員(山梨大学長)と濱田州博委員(公立諏訪東京理科大学長)、朴澤泰男・国立教育政策研究所高等教育研究部総括研究官の3氏から意見を聴取し、委員間で議論を行った。同部会は今回でヒアリングを終え、次回以降は委員による具体的提案について議論する予定。   

またこの日の会議では事務局(文部科学省)から「将来社会を見据えた高等教育の在り方に関する論点の整理案」が示された。全体で約10ページの簡潔にまとめられており、(1)背景、(2)高等教育の目指すべき姿、(3)今後の高等教育の在り方、(4)国公私の設置者別等の役割分担や高等教育の改革を支える支援方策の在り方を柱に、今後深堀りして議論するポイント例、検討の方向性が示されている。   

このうち(2)では我が国の「知の総和」の維持・向上、高等教育政策の目的、重視すべき観点が記述されており、高等教育政策の目的では質、アクセス、規模の三つはトレードオフ(両立できない)関係になることもあり得るため、価値の選択と調整が必要で、効果的に達成するために制度及び資源配分の在り方の検討が重要としている。  

また(3)では教育研究の「質」の更なる高度化、地域における質の高い高等教育への「アクセス」確保、高等教育全体の「規模」の適正化の論点を上げており、遠隔教育の普及等も踏まえた教育の質の確保・充実策、単線的年齢中心主義からの脱却、入試の多様化、転編入等の柔軟化、社会人学生やパートタイム学生の定員管理方法、博士課程修了者のアカデミア以外のキャリアパスの構築方策、各地域で地理的、経済的観点から高等教育機関へのアクセス確保に必要な議論を行う場の構築、地域に必要な高等教育へのアクセス確保のための支援等を行う仕組みの整備、各高等教育機関が「強み」や「特色」を発揮できるための、教学面、学校運営面における機能の共同化・高度化、定員未充足大学を統合した場合のペナルティ緩和、ソフトランディングをするための縮小、撤退を見据えた現有リソースの配分最適化、定員未充足大学の定員規模適正化の促進など検討の方向性としている。   

(4)では専門職大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の在り方について、縦・横の流動性確保の観点も含めどのように考えるかなどを深堀議論のポイントとしている。   

3人の学長等からのヒアリングでは、山梨大学から大学アライアンスやまなしの取り組みなどが報告され、国公私立の役割分担の明確化では学問分野と教育課程(段階)の緩やかな分担などが求められた。また公立諏訪東京理科大学からは私立大学から公立大学に変わった学内外の変化や地方での高等教育へのアクセス確保の難しさなどが説明された。国研の朴澤氏からは学力と進学先の学力面のミスマッチ等を指摘、その緩和のため他の地域への進学移動も可能とする個人補助、主に地方私立大学を念頭に置いた機関補助の必要性が指摘された。