学校教育法一部改正法が成立

 専門学校の大学等との制度的整合性を高める措置等実施へ 

学習継続の機会確保へ 専攻科設置可能に  

大学と同等の自己点検評価を義務付け、外部評価は努力義務  

専門学校の大学等との制度的整合性を高めるための措置や教育の質の保証を図るための措置などを盛り込んだ学校教育法の一部改正案が6月7日に参議院本会議で、全会一致で可決、成立した。4月25日の衆議院本会議でも全会一致で可決している。衆議院の文部科学委員会、参議院の文教科学委員会の可決の際、それぞれ概ね同様の附帯決議が採択されており、専門学校の単位制への移行の更なる促進と併せて高等教育機関間の単位互換制の推進とともに、大学等と専門学校との制度的整合性を明確にするに当たり、教育の質の更なる向上、質を保証するための措置の一層の強化などを求めている。特に参議院文教科学委員会では独自に学校評価に関するガイドラインの見直しや説明会の開催等を通じ、専門学校における自己点検評価の確実な実施や外部の識見を有する者による評価の推進、専門学校に対して評価結果や教育活動等に関する情報の積極的な公開を促すことを求めている。施行日は令和8年4月1日。

今回の学校教育法の一部改正の柱は3点。(1)専門学校(=専修学校専門課程)の入学資格を見直す(高等学校等を卒業した者に「準ずる学力があると認められた者」から高等学校等を卒業した者と「同等以上の学力があると認められた者」に改正)とともに、学習時間に関する基準を「授業時数又は単位数」に改正する。(2)専門課程修了者の学修継続の機会確保や社会的評価の向上のため、一定の要件を満たす専門課程に専攻科を置くことができるとする。当該専門課程(=特定専門課程)の修了者全てについて大学編入学資格を認め、当該修了者は専門士と称することができる。

(3)教育の質の保証を図るため、大学と同等の項目での自己点検評価を義務付けるとともに、外部評価を受けることを努力義務とする。このうち(2)の一定の要件を満たす特定専門課程の修了者に与えられる専門士は法律に位置付けられたもので、現在、文科大臣の告示に基づく専門士が既に付与されているが社会的通用性や海外留学などの面で違いが生じることになる。また専攻科の設置は、看護師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師といった医療系学科が見込まれており、文科省では正確な専攻科設置数は不明としながらも、医療系39学科で設置されるのではないかと見ている。大学と同水準の専攻科については、短期大学、高等専門学校の認定専攻科と同様に、大学等における修学の支援に関する法律に基づく修学支援制度の対象に含めるとしている。