中教審高等教育の在り方特別部会が中間まとめ
出口の質保証など提言
改革を支える支援方策議論は今後に
中央教育審議会大学分科会高等教育の在り方特別部会(部会長=永田恭介・筑波大学学長)の審議の「中間まとめ」が8月8日に公表された。同特別部会は昨年9月の諮問以降、約8カ月間、8回にわたり、2040年以降の社会を見据え高等教育の目指すべき姿や、国公私立の設置者別等の役割分担の在り方、高等教育の改革を支える支援方策の在り方等の審議を続けており、大学等関係者の関心は極めて高いが、高等教育全体の規模を少子化に合わせどこまで圧縮するのか、大都市圏と地方のバランスをどう取るのか、国公私立別の役割・機能をどのように定め、改革を支える支援方策をどのようにしていくのかなど、先が見通せない部分も少なくない。
同特別部会の「中間まとめ」案は、7月19日開催の第178回大学分科会と第8回特別部会の合同会議で示され、大学分科会等の委員からさまざまな加筆や修正を求める意見が出されたが、最終的修正については大学分科会長でもある永田部会長に一任された。7月19日の中間まとめ案と8月8日の中間まとめを比較するすると、全体で3ページ増え、10カ所以上にわたり加筆や削除等が行われている。
今回の中間まとめではまず急速な少子化の進行や東京圏への一極集中、日本の研究力の低下など高等教育を巡る状況を説明。教育研究の質の更なる高度化では「出口における質保証」の促進(厳格な成績評価、卒業認定の促進、認証評価制度の見直し)高等教育全体の「規模」の適正化では、18歳で入学する日本人学生以外の受け入れ拡大、高等教育の全体の規模の適正化に向けた支援では厳格な設置認可審査の実施等(学校法人の寄附行為〈変更〉認可審査における財務基準や定員未充足が生じた場合の対応方針等の審査の在り方の見直し)、意欲的な教育・経営改革を行うための支援、再編・統合の推進〈一定の条件を満たす場合に一時的に減少させた定員を一部又は全部戻すことを容易にする仕組みの創設等〉、縮小・撤退への支援(学校法人が解散する場合等における学生保護の仕組みの構築や残余財産の帰属の要件緩和等)、高等教育へのアクセス確保では、地域の高等教育機関や地方公共団体、産業界などの各地域の関係者が、地域の人材育成の在り方について議論を行う場の構築や、そうした検討を促すコーディネーターの育成などを提言している。
また大学、専門職大学・専門職短期大学、大学院・専門職大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校の機関別役割については、例えば大学に関しては、「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する役割」としており、短期大学については「深く専門の学芸を教授研究し、職業や実際生活に必要な能力を有する専門職業人材を育成する役割」とし、短大への入学者のうち約7割は、当該短期大学と同じ都道府県に所在する高等学校卒業生であり、大学と比較してその割合が高いことなどの記述が中間まとめで追加されている。
専門学校に関しては、「社会や産業のニーズに相応しつつ多様な教育を柔軟に展開し、実践的な職業教育を行う機関であり、社会基盤を支えるために必要な人材を育成する役割」としている。
設置者別の役割に関しては、国立大学については世界最高水準の研究・教育の実施や全国的な高等教育の機会均等の確保などを、私立大学に関しては、多様性、独創的な教育研究の推進、幅広い年齢層に及ぶ社会の中核となる人材の教育機会の保障や国民の知的水準の向上等を挙げている。
高等教育改革を支える支援方策の在り方に関しては、公財政支援の在り方、個人・保護者負担の在り方、寄附金や社会からの投資等の観点から引き続き議論していくとしている。次回特別部会は9月開催の予定。