文部科学省 令和7年度概算要求提出

一般会計5兆9,530億円(前年度比11.5%増)要求

私学助成4475億円

DXハイスクール継続要望

文部科学省は8月29日、令和7年度概算要求等を公表した。一般会計の総額は前年度比11・5%の5兆9530億円、また日本私立学校振興・共済事業団に対する財政投融資計画については、前年度比7億円増の294億円を要求している。私学助成関係予算については前年度比392億円(9・6%)増の4475億円を要求、合わせて私立学校施設・設備の整備の推進のうち安全・安心な教育環境の実現に関しては、国土強靭化関係で別途事項要求がされている。

私学助成関係予算の内訳は、私立大学等経常費補助が前年度比113億円(3・8%)増の3091億円。そのうち一般補助が2854億円、特別補助が237億円で、一般補助と特別補助を組み合わせて「時代と社会の変化を乗り越えるレジリエントな私立大学等への転換支援パッケージ」により将来を見据えたチャレンジや経営判断を始めとした意欲的な経営改革を行えるよう強力に後押しを行うとしている。また集中改革期間は令和6年度から10年度までの5年間としている。

同転換支援パッケージでは、少子化時代をキラリと光る教育力で乗り超える私立大学等戦略的経営改革支援(中小規模の大学・短大等を中心に)や成長分野等への組織転換促進のための支援といったチャレンジ支援のほか、複数大学等の連携による機能の共同化・高度化を通じた経営改革支援などの連携・統合に向けた支援、定員規模適正化に係る経営判断を支えるための支援など縮小・撤退にむけた支援も用意されている。また自らの特色や強みを活かした改革に全学的・組織的に取り組む大学等を支援する「私立大学等改革総合支援事業」も前年度と同額の112億円を要求している。支援メニューは、Society5・0の実現等に向けた特色ある教育の展開(105校程度)、特色ある高度な研究の展開(45校程度)、地域社会の発展への貢献(125校程度)、社会実装の推進(50校程度)の4タイプを要求している。

私立高等学校等経常費助成費等補助は前年度比36億円(3・6%)増の1048億円を要求している。内訳は一般補助が868億円で生徒等一人当たり単価を小、中、高校等で前年度比1・5%引き上げたい意向で、引き上げ率は幼稚園に関しては教諭の人材確保のため15・5%引き上げる方針で、特別支援学校等については2・5%増とし、広域通信制高校に関しては単価を据え置く意向。特別補助は143億円を要求しており、その中の教育改革推進特別経費(60億円)では、新たに外国人入学生の受け入れのための環境整備(学校生活等のための通訳やサポート人材等の配置、校内サインの設置等)のための支援メニューを要求している。

私立学校施設・設備の整備の推進に関しては、高校等、大学等を合わせて総額336億円を要求している。前年度の3・6倍に当たる額で、国土強靭化基本計画に基づいて耐震対策の実施率引き上げのための予算を事項要求している。336億円の内訳は、(1)防災・減災、国土強靭化の推進による安全・安心な教育環境の実現に103億円(前年度比58億円増)、(2)熱中症・光熱費高騰・温暖化等への対応の加速化による持続可能な教育環境の実現に142億円(同138億円増)、(3)成長分野等をけん引する私立大学等教育研究環境の高度化による研究力・国際競争力の向上に65億円(同42億円増)、(4)私立高等学校等ICT環境の整備による教育DXの推進に25億円(同4億円増)。そのほか私立学校施設高度化推進事業(利子助成)事業(予算額8億円)を要求している。

私学助成関係以外ではさまざまな事業を要求しているが、その一つが「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)で、107億円を要求している。新規事業とはされているが、令和5年度補正予算で100億円の予算が初めて計上され、昨年から今年にかけて公、私立高校で大きな関心事となった。大学教育段階で、デジタル、理数分野への学部転換が進んでいるが、その政策効果を最大限発揮するため、高校段階からデジタル等成長分野を支える人材を育成し、進学してもらおうと、考えられた事業。

支援対象校は公立、私立の高校等を合わせて1250校(令和5年度補正予算では約1000校を支援)程度としており、継続校1000校には750万円(重点類型の場合は950万円)、新規採択校250校には1000万円(重点類型の場合1200万円)を定額補助する計画。

このほか一般財団法人日本私学教育研究所への文科省からの補助金については2018万9000円が要求されている。