金沢工業大学の取り組み
地域幸福度指標の活用促すゲームを製品化
デジタル田園都市国家構想推進に向け
金沢工業大学SDGs推進センター(石川県野々市市)はこのほど、「コレクティブ・インパクトゲーム」の製品化を、一般社団法人スマートシティ・インスティテュート、東京海上日動火災保険㈱、㈱LODUと共同で実施した。
コレクティブ・インパクトとは、個々の組織では解決が難しい社会的課題に対して、企業・自治体・市民・教育機関などの参加者が互いの違いを生かしながら、共通の目標に向かって集合的なインパクトを生み出していくアプローチ。同ゲームは、日本政府が推進するデジタル田園都市国家構想における地域幸福度(Well―Being)指標として活用されているLWC指標(Liveable Well―being City指標)を用いて、街の強みや弱みを特定し、企業・自治体・市民・教育機関が連携しながら、ウェルビーイングな街の実現を目指すゲームになっている。多様なステークホルダーが互いの立場を理解しながら、win―win―winの状況を実現するための重要なポイントを楽しく学ぶことができ、LWC指標活用のハードルを下げることを可能にする。
現在、SDGsの次の国際目標として議論が始まりつつあるポストSDGsにおいて、ウェルビーイングは中核の概念となり得ると注目されている。北陸地域でも、石川県は成長戦略の基本目標として「幸福度日本一に向けた石川の未来の創造~住みやすく、働きやすい、活力あふれる石川県の実現~」を掲げ、富山県は成長戦略のビジョンを「幸せ人口1000万 ウェルビーイング先進地域、富山を目指して」とするなど、地域の成長戦略でも経済成長のみならず、ウェルビーイングという視点を重視したビジョンが打ち出されるようになっている。
政策面では、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」で「新たなステージを目指すための5つのビジョン」の一つとして、「誰もが活躍できる Well―beingが高い社会の実現」が提示されているほか、デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、重点計画の一つとして、「地域幸福度(Well―Being)指標の更なる推進」が明記された。
こうした状況下、日本全国で日本政府によってデジタル田園都市国家構想が進められており、産業界・自治体・市民団体・学術機関・教育機関とさまざまなステークホルダーによる積極的な参画が進んでいる。
LWC指標はスマートシティ・インスティテュートが開発し、同構想における地域幸福度指標として多くの自治体が活用している。LWC指標を用いることで、誰でも簡単にオープンデータ・アンケートデータの分析結果を表示でき、地域幸福度の視点から各地域の街の特徴(強みや弱み)を特定できる。
今後、スマートシティ・インスティテュート、東京海上日動、LODU、同大学は同ゲームを協力して普及させ、多くの地域・組織・人々がLWC指標を用いながら地域幸福度・ウェルビーイングを高める活動に参画できるよう促していく。
普及のためのワークショップ・研修等を通じて活用するとともに、今後、製品版を活用して共に普及の取り組みを行う認定ファシリテーターも育成する予定。
また、スマートシティ・インスティテュートの会員や、同大学SDGs推進センターが運営するSDGsイノベーション教育実践者コミュニティの参画教員に向け、無料ダウンロード版(個人利用のみの活用、小中高の授業内に限った活用と利用範囲を制限)のウェブサイト経由での提供を予定している。
9月18日には、同大学虎ノ門キャンパス(東京都港区)で企業・自治体教育関係者等を対象として、同ゲームの体験会を開催する。参加費は無料。
詳細は同大学SDGs推進センターのホームページ(https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/)まで。