中教審第179回大学分科会・第11回高等教育の在り方に関する特別部会

追加論点案を説明、審議

専修学校の適格専攻科修了者への大学院入学資格付与では、認証評価の枠組み作り求める意見

中央教育審議会の179回大学分科会(分科会長=永田恭介・筑波大学学長)と同分科会の第11回高等教育の在り方に関する特別部会(永田恭介部会長)の合同会議が10月16日、文部科学省でオンラインも活用して開かれた。この日は9月に開いた第9回と第10回特別部会で合わせて10の関係団体と2人の専門家から「中間まとめ」に対する意見等を聴取したこと等を踏まえて、同省が「追加論点案」を提案、そのうち教育研究の「質」の更なる高度化や高等教育全体の「規模」の適正化、高等教育への「アクセス」確保等について意見を交わした。

追加論点案は、教育の研究の「質」の更なる高度化に関しては、教育の質を高めていくための評価制度等の在り方、入り口段階における合格難易度による大学評価から出口段階における学生の能力の伸び等による大学評価へ転換するための方策、定員管理の在り方等を追加、高等教育全体の「規模」の適正化では、地域単位での将来的な規模の提示、留学生・社会人学生・博士課程学生の増加方策、大学連携推進法人等の仕組みの見直し、新しい連携の形の構築、研究型大学の大学院への移行等が追加された。

また高等教育への「アクセス」確保のうち地方大学の在り方に関しては、地方大学振興のための支援方策、大都市圏への人口流出を抑制するための地方大学の魅力向上方策等が、機関別の在り方に関しては短期大学の大学・大学院との接続の在り方、設置者別の在り方に関しては国立大学間や公私立大学等との多面的な連携、私立大学の公立大学化や、地方公共団体との連携した支援の在り方、トップ層の育成(選択と集中)と中間層の育成(厚い裾野)の在り方等が追加されている。

こうした追加論点案に委員からは、学生の学修時間が不足していることを改善するため、入学は容易だが卒業は難しい大学に変わっていくため、全大学が例外なく卒業の定員を絞り、学生間の競争を促すこと、定員の「充足」という概念に幅を持たせること、定員管理を柔軟化すること、地域の発展に向け地域で各大学の機能を最大化するため、大学間の連携を進めること、国が主体となっての定員管理の必要性、設置者別ではなく、機能別に大学を分けていく重要性、学費引き上げと同時に個人補助へのシフトなどが提案された。

また、この日は追加論点案の審議に先立って、「認証評価機関の認証の申請及び届出に係る手続きルールの整備案」が文科省から提案され、委員から了承された。この改正は申請及び届出に係る書類等について、法令上必ずしも明確でない部分があり、長年、運用により補完されていたため、法令上で整理・明確化を図り、申請者の予見可能性及び行政手続きの適正化を一層担保するもの。10月下旬頃からパブリックコメントにかけ、令和7年4月1日に施行する予定。続いて今年6月に公布された「学校教育法の一部を改正する法律」により令和8年4月1日以降、特定専門課程を置く専修学校には、専攻科を置くことができるようになるため、文科大臣の指定する同様の基準を満たす専攻科(適格専攻科)の修了者については、大学院入学資格を付与することが同省から提案された。

修了者に大学院入学資格の付与を認める専修学校の適格専攻科の指定基準案は、修了者に大学院入学資格の付与が認められる専修学校専門課程(修業年限4年以上等の要件あり)とほぼ同様の要件で、専門課程と専攻科で2つの資格を取得できる、看護師(+助産師、保健師)や2級自動車整備士(+一級自動車整備士)などを念頭に置いていることなどが説明されたが、委員からは教育等の質保証の面で4年制大学と専修学校との大きな違いが指摘され、大学と同様に認証評価や第三者評価の義務化を求める意見、4年制専門課程で修了者への大学院入学資格をやめる学校が少なくないことなどを挙げ、その制度そのものの見直しの必要性も指摘された。また別の委員からは「長年付与されてきたものを覆すことにどういう意味があるのか、専門学校の第三者評価機関が限定的なことを文科省はどう考えるのか」といった意見も出された。産業界の委員からは学修者の質を上げていくことが重要といった発言もあり、永田分科会長(部会長)は、「(専修学校専門課程、専攻科の質を)学校任せ、自治体任せにすることが気になる。質の保証に向けて第三者評価がマスト(義務)になる仕組みを作らないといけない。早急に取り組み、最低限チェックすべきものは設置して先に進んだらいい。この私の提案を認めていただきたい」と語り、委員からは異論は聞かれなかった。