早稲田大学150周年に向けて始動

田中愛治総長「世界人類に貢献する大学」
150周年記念事業推進委員会 中田委員長「世界に示すビジョンを明確にする」
早稲田大学は2032年、創立150周年を迎える。10月17日、同大学は、創立150周年に向けて、2025年10月から本格的に始動する記念事業の目指す方向性や改革のシナリオを示す記者会見を開催した。
田中愛治総長は「早稲田大学150周年に向けて~2032年以降を見据えた2050年のあるべき姿~」について述べた。
同大学は2032年以降を見据えた150周年記念事業を推進し、2050年までに「世界人類に貢献する大学」に進化させ、社会的インパクトのある研究を推進し、日本社会の変革を牽引する方針を掲げる。創立者大隈重信の建学の精神に立ち返り、「Ⅰ Global Research推進事業(社会的インパクトをもつ研究)」・「Ⅱ Global Education推進事業(総合知で世界人類に貢献する人材の育成)」・「Ⅲ Global Citizenship推進事業(人類への貢献のビジョンを牽引・実現)」を記念事業の中心に据えて、総合知による世界人類への貢献を果たす。
この中でⅠでは、地球の気候変動を止めるためにCO2排出を最小限にし、再生エネルギーの効果的効率的利用を実現することにより、文理融合の研究を推進し、カーボンニュートラル社会の実現を目指す。
Ⅱでは、全ての授業を英語で行い、学位単位を可能にする「英語学位プログラム」を学部と大学院で拡充していることなどだ。
これら三つの推進事業は、横断的な取り組みであるグローバルエンゲージメントの強化に支えられる。2032年の目標として、外国人留学生を1万人にすること、同大学から年間6600人の学生を世界に送り出すことを見越している。海外の優秀な研究者を招き共同研究の支援強化、国内外の企業との産学連携の仕組みの強化、海外の有力大学との緊密な連携など、国際頭脳循環を促進する。教員の国際化を見据え、国際公募を実施する。
また、理工創設125周年に向けた西早稲田キャンパスの再整備を2026年度から順次進める。
同事業は校友、学生とその保護者、支援者に向けて、150周年を迎える2032年以降、さらに2050年までには、建学の精神「世界人類に貢献する人材を育てる大学」になることを目指している現在の大学の姿と努力、未来の同大学の姿を理解してもらう事業と考えている。
続いて、中田誠司・150周年記念事業推進委員会委員長(㈱大和証券グループ本社取締役会長)があいさつした。積極的に同大学を応援している校友や経済界などで活躍する校友等で構成される「記念事業推進委員会」を2025年10月に発足。委員の主な役割は、(1)150周年事業の推進のための助言(2)150周年事業への共感、積極的な事業の発信(3)大学独自ではアプローチが難しい人々への声掛け――などとなっている。
中田委員長はあいさつの中で、「150周年記念事業は単なる過去の栄光を祝うものではなく、世界中の卒業生の一人ひとりの叡智を結集して現代の社会課題に取り組むための新たなネットワークを創出するもの」とし、「若者に大きな未来を感じる。世界に示すビジョンを明確にする。日本の大学のプレゼンスの向上を願っている」と述べた。