中高連日私学保連 私学振興全国大会開催

来賓のあべ文科大臣、岸田前総理大臣らに

私学教育の環境整備など要請

日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高等学校理事長・校長、以下、中高連)と日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(鹿濱德雄会長、以下、日私学保連)は11月6日、東京・文京区のシビックホール大ホールで私立中学高等学校「令和6年度私学振興全国大会」を開催した。この大会は、両団体が毎年12月下旬に閣議決定される来年度政府予算案における私学振興予算の拡充等を、文部科学省の政務三役や、与党・自由民主党の文教関係議員等に要望するため開催している大会で、今年は47都道府県から私立中学高等学校の理事長・校長ら約550人と保護者ら約1100人が出席し、文科省を代表してあべ俊子大臣(衆議院議員)が、また自民党を代表して岸田文雄・前内閣総理大臣(衆議院議員)が祝辞を述べた。大会には衆参両院議員(本人)20人、議員秘書16人が出席した。

大会は、中高連の西岡憲廣副会長(札幌山の手高等学校理事長・校長)の開会の辞に続き、主催者を代表して吉田・中高連会長が挨拶を行い、昭和50年7月に当時、自由民主党の議員立法により私立学校振興助成法が成立、昭和51年4月に施行され、今につながる私学助成体制がつくられたことを振り返り、出席した自民党の議員に改めて感謝の思いを伝え、「日本の将来の資産は人。私立学校は公立学校と切磋琢磨しながら日本の教育を支えていく」との決意を表明、出席の議員や保護者に更なる応援を要請した。

続いて日私学保連の鹿濱会長が挨拶し、私立中学高等学校は諸物価の高騰等により教育環境の維持等が大変厳しい状況となっており、保護者に対する就学支援金も一部の自治体では国の予算額に上乗せ措置があるなど都道府県間で大きな格差が生じていることを指摘。その上で令和7年度政府予算では私立高等学校等経常費助成費補助金や就学支援金等の拡充強化を要請した。

その後、出席議員の紹介に続いて来賓挨拶が行われ、初めにあべ文科大臣が、「教育は国家、社会の礎であり、発展の原動力で、私立学校においては建学の精神の下、多様で特色ある教育が行われ、日本の未来を担う子供たちの育成を図ることが期待されていることから、文科省として私立学校の更なる振興策の推進に取り組んでいく」との考えを明らかにした。

また岸田前総理は、「自由民主党は結党以来教育政策の大きな柱の一つとして私学振興を掲げてきた」と説明した上で、「昨今の物価高騰等を踏まえて私学助成については近年最大の上昇幅に拡充することを政府として目指していくべきと考えている」などと語った。

続いて議員からそれぞれ挨拶が行われた。遠藤利明・私学振興協議会共同代表(衆議院議員)は、私立学校の耐震化、体育館の冷暖房整備、ICT教育環境の整備や、財源確保のため教育国債の検討の必要性を指摘。柴山昌彦・元文部科学大臣(衆議院議員)は、「住む場所に関わらず求める学びが確保できるよう、国、地方、議員の先生方とともに保護者等の要望に応えていきたい」などと語り、永岡桂子・元文部科学大臣(衆議院議員)は、「日本の未来をつくる子供たちのために頑張りたい」などと語った。末松信介・元文部科学大臣(参議院議員)は、「私学での生徒一人当たり1台の端末整備や、DXハイスクールの継続について引き続き頑張りたい」と力説した。金子恭之・元総務大臣(衆議院議員)は「私学振興、私学助成にしっかり取り組んでいきたい」と語り、松本剛明・前総務大臣(衆議院議員)は、「自民党として子供達、子供を育む保護者への応援を最優先テーマにしている」などと話した。

山谷えり子・元国務大臣(参議院議員)は自らの家族が私立学校に進学し、子供達だけではなく学校を通じて親も育てられた経験などを明らかにし、長島昭久・内閣総理大臣補佐官(衆議院議員)は、「経常費補助金の増額やICT整備などに引き続き取り組む」と語った。石原宏高・前内閣総理大臣補佐官(衆議院議員)は、「経常費補助金の拡充やICT環境整備に取り組んでいく」と強調。中曽根康隆・自民党教育・文化・スポーツ関係団体委員会副委員長(衆議院議員)は、「子供たちがいつどこに生まれても質の高い教育が受けられ、教育費の保護者負担の軽減と先生方の働く環境整備が実現するよう尽力したい」と語った。勝目康・自民党教育・文化・スポーツ関係団体委員会副委員長(衆議院議員)は、「公立学校だけでは個性が埋もれてしまう子供がいる。私学の多様性が必要」などと語った。上野通子・自民党政務調査会長代理(参議院議員)は、「子供たちがわくわく、ドキドキして学校に通い、自分の目的を実現する道を(私学の皆様には)つくっていただきたい」などと話し、赤池誠章・自民党政務調査会副会長(参議院議員)は、経常費補助金の増額やDXハイスクールの継続等に取り組む考えを強調した。

朝日健太郎・環境大臣政務官(参議院議員)は、全国的に私学振興のバランスを取っていく必要性を強調、臼井正一・自民党教育・文化・スポーツ関係団体委員会副委員長(参議院議員)は、「子供は国の宝、その裏付けのためには、質の高い教育を行っていくことが必要」などと話した。