第15回高校教育の在り方WG開催

審議まとめ素案を審議
広域通信制の質向上求める意見も
中央教育審議会初等中等教育分科会内に設けられている高等学校教育の在り方ワーキンググループ(主査=荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長)は12月12日、文部科学省でオンラインも併用して第15回WGを開催した。この日の議題は「審議まとめ」(素案)について。
同WGは昨年の9月1日に「中間まとめ」を公表して以降、学校や教育委員会、学識経験者、生徒等からの意見聴取を行いつつ探究・文理横断・実践的な学びのための体制・環境整備や教育費負担軽減の在り方、人口減少時代において少子化が加速する地域における高等学校の在り方についてなどを審議してきた。
この日は文科省が「審議まとめ」(素案)について「中間まとめ」からの変更箇所を中心に説明し、委員による意見交換が行われた。
素案は、はじめに、これからの高等学校の在り方に係る基本的な考え方、各論点に対する現状・課題認識と具体的方策(少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方、社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進)、おわりに―の構成で、具体的方策の主体別整理等の資料や参考資料集等も添付される。
このうちこれからの高等学校の在り方に係る基本的な考え方では、新たに一つの学校の中だけで教育活動や期待される機能・役割のすべてを果たそうとするのではなく、他校・他課程・他学科のリソースも活用していくという考え方が重要であることなどが付け加えられ、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方:小規模校の教育条件の改善に向けてでは、遠隔授業や通信教育の活用、学校間連携等の推進に関して令和6年度から可能となった制度改正等が説明されている。全日制・定時制・通信制の望ましい在り方:生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びの実現に向けてでは、通信制課程に関しては不適切な教育活動の事例(高校学習指導要領で定める面接指導の回数が不足している、相当する教科の教員免許状を持たない者が面接指導を実施しているなど)を挙げて、今後、更に質の確保・向上を図るための方策を講じていくことが求められる、と記述。また通信制高校の入学者選抜の日程は中学校の教育活動の成果を十分評価することができる資料、時期に行われるよう特に配慮が必要なことを強調している。
このほか自治体により教育費負担の軽減が異なることから、不公平感が生じていることや、専門高校の魅力発信等についても記載している。
こうした「審議まとめ」素案に対して、委員からはさまざまな意見が出されたが、広域通信制高校に関して、「広域通信制高校はサポート校が支えている。それをどう捉えるべきか、実態を調査すべきだ」「サポート校は高校なのか、塾なのか。費用も高い。はっきり分かるようになるといい」「通信制高校の連携協力施設ごとの評価、情報公開が必要。単位数のメディア減免も議論が必要」「広域通信制高校のような肥大化した制度は諸外国にあるのか。さまざま綻びが見えている。文科省には大きな観点でもう一度現状を見てほしい」などの意見が聞かれた。次回WGは1月31日。