令和7年度文科省予算案決定

私学助成4084億円に
私立大学等のチャレンジ、連携・統合縮小・撤退を支援
令和7年度政府予算案が令和6年12月27日に閣議決定された。文部科学省の一般会計の総額は5兆4029億円で、前年度比645億円(1.2%)の増額。このうち私学助成関係予算額は、前年度比1億円増の4084億円で、内訳は私立大学等経常費補助が2979億円(前年度比1億円増)、私立高等学校等経常費助成費等補助が1014億円(同2億円増)、私立学校施設・設備の整備の推進が91億円(同2億円減)で、ほぼ前年度並みという状況だが、7年度予算案の閣議決定の10日前に国会で成立した6年度補正予算には私立学校の施設・設備関係補助等144億円が盛り込まれており、私立学校の教育・研究環境を前進させる支援状況となっている。
令和7年度の私立大学等経常費補助では一般補助が2773億円、特別補助が207億円だが、両者を横断する形で「時代と社会の変化を乗り越えるレジリエントな私立大学等への転換支援パッケージ」が設けられているのが特徴だ。現在、約63万人を数える大学進学者数は2040年には約46万人となる厳しい見通しのため、文科省では令和6~10年度までを集中改革期間と位置付け、各大学のチャレンジ、連携・統合、縮小・撤退の3つの方向性への支援を充実していく方針。このうち少子化時代を支える新たな私立大学等の経営改革支援(予算額24億円)では、中小規模校を中心に未来を支える人材育成機能強化に向けた経営改革等を支援、また複数大学等の連携による機能の共同化・高度化を通じた経営改革支援を行う。そのほか私学経営DXを通じた文科省・私学事業団によるアウトリーチ型支援の推進(同1億円)、成長分野等への組織転換促進支援、定員規模適正化に係る経営判断を支えるための支援、自らの特色・強みを活かした改革への全学的・組織的取り組む大学等への支援(同103億円)などが用意されている。
一方、私立高等学校等経常費助成費等補助の大半を占める一般補助は、都道府県による私立高等学校等の経常的経費への助成を支援する補助で844億円(同1億円増)を計上している。
物価高騰等を踏まえ生徒等1人当たりの単価を中学、高校(全日制・定時制課程)、同(広域以外の通信制課程)で前年度比1.3%引き上げる予定だ。また、都道府県が私立学校の特色ある取り組み等に助成する場合、国が都道府県にその助成額の一部を補助する特別補助は総額で137億円(同1億円減)。このうち教育改革推進特別経費は56億円、うち子育て支援推進経費が38億円、高校等関係の、教育の質の向上を図る学校支援経費が18億円。この補助事業には、(1)次世代を担う人材育成の促進、(2)外国人入学生受け入れのための環境整備、(3)ICT教育環境の整備推進、(4)教育相談体制の整備、(5)職業・ボランティア・文化・健康・食等の教育の推進、(6)安全確保の推進、(7)特別支援教育に係る活動の充実、(8)外部人材活用等の推進、(9)教員業務支援員の活用の推進の9つのメニューがあるが、このうち(2)が新規事業。
このほか特別補助では、私立の小中学校等が家計急変等の経済的理由から授業料の納付が困難になった児童生徒に対し授業料減免措置を行い、都道府県がその減免額に助成を行う場合、国が都道府県にその助成額の一部を補助する授業料減免事業等支援特別経費(3億円)、都道府県が過疎地域に所在する私立高等学校の経常的経費に助成を行う場合、国が都道府県にその助成額の一部を補助する過疎高等学校特別経費(1.5億円)が設けられている。
私立学校施設・設備の整備の推進91億円のうち(1)安全・安心な教育環境の実現が45億円、(2)私立大学等の研究力・国際競争力の向上が23億円、(3)私立高等学校等の教育DXの推進が22億円、(4)持続可能な教育環境の実現が1億円となっており、(1)に関しては、非構造部材の耐震点検のみの事業が新設され、耐震改築事業が令和8年度まで延長されることになった。(2)は私立大学等の多様で特色ある成長分野(AI、バイオ、マテリアル、半導体、健康・医療等)等の教育研究環境を一層高度化・強化することで、研究成果の社会実装を加速化、社会経済の発展に寄与。(3)は、1人1台端末の整備に対する支援、ICT教育設備の整備に対する支援、校内LANの整備に対する支援があり、補助率はそれぞれ2/3以内、1/2以内、1/3以内。
(4)は空調設備の整備や高効率化、照明設備のLED化等を進める。
このほか日本私学教育研究所に対する文部科学省からの補助金は前年度と同額の2018万9000円となっている。