四国大学の取り組み

2026年4月のデジタル創生学部設置構想発表

地域活性化へ実践的デジタル人材育成

四国大学(徳島県徳島市)は、2026年4月に「デジタル創生学部デジタル創生学科(仮称・設置構想中)」を設置することとし、2024年度末の認可申請に向けて準備段階にあることを2024年7月8日に記者発表した。

設置に当たっては、国が2022年度に新設した「大学・高専機能強化支援事業」デジタル・グリーン等の特定成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、意欲ある大学・高専が成長分野への学部転換等の改革を行うことを支援する助成事業の助成金を活用する予定となっている。同学部が育成する人材像は「情報科学と経済・経営的思考を併せ持ち、最新デジタル技術やICTを活用して社会の課題解決や地域の活性化に貢献できる『実践的デジタル人材』」としている。

同大学は2025年に学園創立100周年を迎える。同学園は1925年に初代理事長である佐藤カツ氏が「女性の自立」を掲げて創立した徳島洋服学校に始まる。今回の新学部構想を実現することで、2026年から次の100年に向かって、新たな一歩を踏み出すこととなる。

新学部設置の背景には、地方部である徳島県の地域課題「若年層の県外流出」がある。徳島県内人口は「令和5年徳島県人口移動調査年報」によると、転出超過にあり、15~24歳の年代の転出数が多くを占めている。高等教育機関への進学時と就職時に県外へと人口が流出していると考えられる。

また、徳島経済界や産業分野では、全般的に人材不足となっており、特に、ICTやAI、データサイエンスを有効活用できる最新のデジタル分野の知識と技能を備えた人材が不足している。

同大学は、徳島県内の高等教育機関の中でも特に県内出身者が多く、約2800人の学生のうち徳島県出身者は約7割を占め、さらに、卒業者の6割以上が徳島県内で就職している。

こうしたことを背景に、同大学では地域に根付き、地域に支えられてきた先進的地域貢献大学として、これからも地域のニーズや課題に対応し、期待に応える人材を育成、輩出することを目的に新学部を設置することとした。

新学部の学びの特長としては、▽多彩な分野を志向可能とする文理融合の実践型教育の実施▽文系・理系出身を問わず、学生のレベルに応じた丁寧な指導の実施▽最新のデジタル関連施設・設備の整備を予定していること▽AI・情報システム、デジタルイノベーション、メディアデザインに関する科目群を設け、専門知識や技術を修得するとともに、興味や関心に応じて各科目群を横断的に学修できること―が挙げられる。

4年間の教育課程では、基礎力と応用技能の確実な修得、課題解決に挑む創造的な実践、外部機関と連携した社会実装の経験を重視していく。

これらの学びを通して、プログラマーやシステムエンジニア、データサイエンティスト、デジタルの力で地方の暮らしを豊かなものにサポートする公務員、高等学校等で情報科を教える教諭、映像クリエーターやウェブデザイナーなど、多様な業界業種でデジタルの力を生かして活躍し、今後の地域社会を支え、けん引できる人材を育成する。

同大学の松重和美学長は「新学部を卒業したデジタル人材が活躍する業界業種は、情報システム業界のみならず、製造業やサービス業、インフラ、農林漁業に至るまで多岐にわたることが見込まれている。国、県や市町村、県内外の高校、地元経済界などの学外諸機関との密な連携により、実践的知識や技術の修得を目的とした授業やフィールドワークを実施し、地域社会および経済に貢献できる人材を育成していく」とコメントしている。

 【新学部の概要】
 定員:100人
 修業年限:4年
 開設予定場所:同大学古川キャンパス(徳島県徳島市応神町古川字戎子野123―1)