令和6年度関東地区私学教育研究集会校長研修会 千葉大会

15歳人口減時代の私学教育の在り方を研究目標に
教員不足など巡り情報・意見交換
令和6年度関東地区私学教育研究集会校長研修会・千葉大会が10月22日、千葉市内のホテルで開催された。一般財団法人日本私学教育研究所が主催、一般社団法人千葉県私立中学高等学校協会が実施したもので、関東地区の神奈川、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉の6県から約100人の私立中学高等学校の理事長や校長等が参加、「15歳人口減時代の私学教育の在り方」を研究目標に、教員不足に対して、各県の状況と協会としての対応について協議し、公立と私立の定員充足校の5年間の推移や公私立高等学校協議会の状況について情報交換などを行った。
また研究協議に先立って、プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)で全国屈指の人気と実力を誇る「千葉ジェッツ」の佐藤博紀・取締役パートナー本部長が、「千葉県×千葉ジェッツ~バスケットボールを通じて千葉県に恩返しを~」の演題で講演し、世界に通用する選手・チームの輩出やエンターテインメント性の追求、夢のアリーナ実現を目指して、観客を巻き込む演出等で集客数の大幅増を実現しつつ、地元貢献や企業と連携しての社会貢献にも力を注いでいる経営理念や様々な取り組み等を紹介した。
私立中高校長等からは「地域貢献など様々な取り組みのアイデアはどこから湧いて来るのか」「選手のセカンドキャリアにどう取り組んでいるのか」といった質問が出され、私学経営にも役立つヒントを掴みたいとの思いを窺わせる講演となった。
その後、神奈川県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県の私立中高協会等の会長等が助言者となって研究協議が行われた。協議題は神奈川県私立中高協会が提案した「教員不足に対して、各県の状況と協会としての対応について」で、神奈川県からは、大学の教職課程で取得しなくてはいけない単位数が増え、教員免許状の取得が非常に大変になっており、講師が見つからず、離れた県から通ってもらっていること、特別免許状の取得を含めさまざま取り組みを行っていることなどが報告された。埼玉県からも採用が決まっていた教員が処遇の良い地域の学校に移ってしまうことなどが、群馬県からは教職のイメージアップに努力しているが、働き方改革や部活動改革は道半ばであること、栃木県からは公立校では教員採用が比較的にうまくいっているため、大学や教育委員会から情報を得ながら教員確保に努めていること、茨城県からは高校生の段階から教職には夢と希望があることを伝えていることなどが報告された。
研修会の開催県となった千葉県からは県内の私立学校長から「個別最適化の授業はもはや限界」「72大学を訪問し、教員となる学生を送ってほしいとお願いしたが、効果はほとんどなかった」「大学の学生に私学の一日を体験してもらっている」との報告もあった。
そのほか教員の確保を巡って首都圏で話し合う必要性や高額な費用のかかる民間業者ではなく、公共的な団体が人材紹介を行う重要性を指摘する意見も聞かれた。
続いて行われた聴取事項では千葉県から提案された公私立高校の令和2年度から6年度までの5年間の定員充足状況等が各県から具体的に報告された。また公私立高等学校協議会の状況について各県から報告が行われた。
そのほか大規模な通信制高校が通学コース等を展開する中で、全日制高校への進学率がこの3年間で大きく低下していることなども報告された。