令和5年度第1回都道府県私立学校主管部課長会議開催

文部科学省 私学部等の部局が令和6年度概算要求など説明

法改正に伴う必要な措置等で協力要請

文部科学省高等教育局私学部(寺門成真部長)は10月6日、令和5年度第1回都道府県私立学校主管部課長会議をオンデマンド配信方式で開催した。同省の令和6年度概算要求の概要や当面する課題に対する同省の対応方針等を各都道府県の私立学校主管部局に動画で説明し、理解と協力を要請するための会議。

私学部が所管する私学の振興(私学行政課)、私学助成(私学助成課)についてのほか、私学部以外の部局が担当する高等教育の修学支援(高等教育局学生支援課)や高校生等の修学支援(初等中等教育局修学支援・教材課)、専修学校の振興策(総合教育政策局生涯学習推進課)、部活動の地域連携・地域移行(スポーツ庁地域スポーツ課)など計17の部局から説明動画や関連資料が配信された。

このうち私学の振興に関しては、神山弘・私学行政課長が、(1)学校法人のガバナンス改革、(2)学校法人関係税制、(3)私立学校における労務管理、(4)女性活躍の推進、(5)規制改革推進会議への対応、(6)マネーローンダリング・テロ資金供与を巡る動向、(7)その他(児童生徒等に性暴力等を行った教員に対する厳正な対応、インボイス制度、学校法人の経営改善等のためのハンドブック《第1次改訂版》に関し説明を行った。

このうち今年の通常国会で成立した改正私立学校法に関しては、令和7年4月1日の施行(評議員会の構成等については経過措置を設ける)となっているが、それに合わせて、現在、寄附行為作成例が公表されており、政省令の準備が進められているが、令和6年の夏以降には寄附行為の変更申請、認可が必要となることから、都道府県に対しては寄附行為作成例を参考にして県の審査基準やモデル寄附行為など必要な規定の整備、学校法人に説明会を開催するなどして、新制度の内容、必要となる対応、今後のスケジュールなどについての周知徹底、寄附行為変更の認可を要請。

また所轄庁の法定受託事務として、学校法人の業務若しくは財産又は理事の業務執行に関し、不正行為がなされ、若しくは法令若しくは寄附行為の重大な違反が生ずるおそれがあると認めるときに監事がする報告の受理(これまでは「おそれ」の場合は報告の対象外だった)、評議員による評議員会の招集に伴う所轄庁の許可、評議員の解任勧告などの事務が追加される、などと説明した。

また私立学校における労務管理に関しては、今年6月中旬から8月30日にかけて私立小・中・高校の教員の時間外労働等の対応状況に係る調査を実施。現在、調査結果を集計中で、必要に応じて学校種ごとの集計データ(個別学校のデータは分からない形で)として会議資料等に活用する予定としていると説明した。

規制改革推進会議への対応では、文科省が行った令和5年度調査結果(速報)によると、8自治体で私立学校の新設、収容定員増加に対する抑制的運用が行われていることなどが明らかになったが、抑制的な運用を行う場合、その必要性について十分な検討を行うことが適切で、パブリックコメントの実施など適切なプロセスを確保することが望ましいこと、またその必要性等について定期的な見直しを行う重要性も指摘。さらに公私間協議が41自治体で行われていたが、遵守の程度など回答内容を精査した上で、必要な対応を検討していく考えを神山課長は明らかにした。

一方、私学助成に関しては、桐生崇・私学助成課長が令和6年度私学助成関係概算要求等の概要を説明。

その中では公立学校ではパソコンなどの端末の整備がほぼ完了したものの、私立学校では保護者購入が増えていることもあって、令和4年度末までに整備が完了したのは全体の55%で、なお支援が必要なため、令和6年度概算要求では購入とリースの2パターンを準備していること、また端末の更新も補助対象にしていること、施設・設備の整備推進に関しては、構造体の耐震化率(令和4年度時点)は93・8%だが、令和7年度までに98・0%に、令和8年度までにIs値0・3未満の施設は耐震化を完了すること、令和10年度までには構造体、非構造部材の耐震化とも100%達成を目標としていること、避難所として使用が見込まれる施設に関しては、バリアフリー化(スロープ、エレベーター、多目的トイレ)の100%達成を令和10年度までに実現することなどを説明して、都道府県に取り組みの加速化を要請した。避難所になっていない学校施設に関してもバリアフリー化促進を要請した。

耐震補強事業、非構造部材の耐震対策、アスベスト対策等に関しては、補助対象となる関連工事が本体工事(耐震性向上に資する工事)との因果関係が合理的に説明できないものは補助対象外となること(例えば食堂天井の耐震化工事を実施したが、天井の耐震化とは関係ない、LED照明への改修工事を補助対象として実施していた)などへの留意を要請した。