DXハイスクール事業申請受け付け開始へ
高校段階でも成長分野の人材育成強化
公私立合わせ1千校の選定が目標
令和5年度補正予算に計上された「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)は予算額100億円、公私立の別なく、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施し、ICTを活用した文理横断的・探究的な学びを強化する高等学校等1千校に対して、そうした教育に必要な環境整備の経費を1校当たり1千万円支援する(定額補助の)新規事業だ。令和5年度の補正予算に盛り込まれた事業だが、令和6年度に繰り越して執行するため、令和6年1月下旬に正式な交付申請依頼が文部科学省から各都道府県等に発出され、文部科学省の交付申請の締め切りは2月末(都道府県の申請締め切りはもう少し前)、交付決定は4月となる見通し。
DXハイスクール事業については、本紙令和5年11月13日号1面で第一報を掲載しているが、同省は今年1月16日付で各都道府県教育委員会学校教育主管課担当者、同私立学校主管課担当者、高等学校を置く公立大学法人担当者に、同省初等中等教育局参事官(高等学校担当)付から同補助金の事業計画検討依頼の事務連絡を、同補助金の交付要綱案や採択基準案、申請等手順イメージ案、同事業Q&A案等をともに発出している。
同事業は大学教育段階でデジタル・理数分野への学部転換の取り組みが進む中で、その政策効果を最大限発揮するためにも、高校段階においてデジタル等成長分野を支える人材育成の強化を図るもの。令和4年度第2次補正予算で造成された基金による「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援」(予算額3002億円)が昨年7月に118件の国公私立大学、高専の取り組み(学部再編等による特定成長分野への転換等、高度情報専門人材の確保に向けた機能強化)を初回公募分として選定しているが、高校等での取り組みを通じ成長分野の人材育成を加速化する計画。
DXハイスクール事業は、(1―1)▽情報Ⅱ等を令和6年度において既に開設していること〈情報Ⅱに相当する内容を含む大学等の科目を履修することを含む〉〈他校からの遠隔授業を受信しているケースも含む〉。また遅くとも令和8年度までに受講生徒数の割合を全体の2割以上とすることを目指すこと。
(1―2)情報Ⅱ等の開設等に向けた具体的な検討を遅くとも令和6年度中に開始し、必要な準備を進めること。その際、遅くとも令和8年度までに開設等するとともに、早期に受講生徒数の割合を全体の2割以上とすること目指すこと。―のいずれか一つ及び(2)デジタルを活用した課外活動又は授業を実施するための設備を配備したスペースを整備し、教育内容の充実、探究的な学び・STEAM教育等の文理横断的な学びの機会の確保、対話的・協働的な学びの充実を図ることを満たすことが必須条件。
受講生徒数の割合を全体の2割以上とすることをめざすこととは、補助対象となる学科単位での生徒数が受講生割合の全体の母数となる。
また、ここで言う情報Ⅱ等とは、情報Ⅱ、数理・データサイエンス・AIの活用を前提とした実践的な学校設定教科・科目及び総合的な探究の時間、情報Ⅱの内容を含むことにより指導内容を充実させた職業系の教科・科目、のこと。
そのほか「理数系科目の充実」、「情報・理数系学科・コースの充実」、「文理横断的な新しい普通科の設置」、「特別支援学校の学びの充実」、「多面的な入試の実施」が加算項目となる。
採択に当たっては、都道府県ごとに学校数、公私比率を踏まえた公立学校分、私立学校分の基礎枠を設けることにしており、文科省は各都道府県の基礎枠の範囲で採択基準に基づく上位の学校から順に採択校として決定する(都道府県基礎枠)。また申請要件を満たす学校のうち都道府県基礎枠の学校数を超える学校について、採択基準に基づく得点上位の学校から順に予算の範囲内で採択校として決定する(全国枠)。
支援対象例としては、ICT機器整備(ハイスペックPC、3Dプリンタ、動画・画像生成ソフト等)、遠隔授業用を含む通信機器整備、理数教育設備整備、専門高校の高度な実習設備、専門人材派遣等業務委託費等を挙げている。
補助対象経費としては、設備備品費及び関連経費、委託費、雑役務費、消耗品費、人件費(教職員に関するものは除く)、諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、会議費、通信運搬費、保険料などの取り組みに必要な経費。
補助対象となる学校種は学校法人の場合、高等学校(普通科・専門学科・総合学科)、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、学校運営や教育活動で法令半や不適切な実態があると考えられる学校は補助対象外。特別支援学校の場合、必須要件は前出の評価項目の(2)のみ。