ラオスで小児がん治療プロジェクト開始へ
福岡医療短大の田口学長も支援 ジャパンハート
発展途上国を中心に医療ボランティア活動を行っている認定NPO法人ジャパンハート(吉岡春菜理事長)は、新たにラオスで小児がんの治療プロジェクトを開始することになった。
ジャパンハートは小児外科医の吉岡秀人氏が創設し、「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに、ミャンマーなどで医療活動や自立支援を行っている。
ラオスでの新たなプロジェクトの本格始動を前に、福岡医療短期大学の田口智章学長と熊本労災病院の猪股裕紀洋院長が6月上旬に首都ビエンチャンのこども病院などを視察した。
田口学長は以前からジャパンハートの活動を支援してきた。
ジャパンハートからラオスの小児医療の現状等の説明を受け、「まだ子供の肝がんに対して肝切除ができない状況で、切除ができれば救える命がたくさんあると知り、小児外科医の出番だと思った」と話す。コロナ禍による渡航制限が解除されるタイミングを待って、今回の訪問となった。
ラオスでの活動は肝がんをはじめとする小児がんの治療に焦点を当て、現地での手術活動やオンライン指導を通じて、ラオスの医療者に最先端の技術や知識を伝える。
こども病院からは、ラオス国内でまだ一件も手術例がない肝臓切除を中心とした、腫瘍外科への指導の希望が出ている。
田口学長は「小児の肝がんは化学療法が比較的有効で、化学療法である程度がんが小さくなった時に肝切除するのがよい。初めは私たちが肝切除を行い、現地の小児外科医に加わってもらい、技術指導したい。今回訪問してみて、小児がんの化学療法は現地の小児科医でもできているのでうまく連携したい。また周術期の口腔ケアも重要なので、啓蒙活動や技術指導も行っていきたい。発展途上国は、齲歯(虫歯)や歯周病が大変多いと聞いているので、近い将来、希望者がいれば歯科衛生士の卵の本学の学生に同行してもらい、術前術後の口腔ケアを担当してもらいたいと考えている」と視察を終えて、活動への意欲や期待を語った。
ラオスでのプロジェクト開始は、2024年初旬の予定。